

これまで
半導体製造用エキシマレーザ装置というと、ほぼ全ての方がランニングコストの高さを一番に指摘される。ランニングコストが低い装置が良い装置との概念も浸透している。事実、レーザ装置の各部品を交換すると、数千万円単位の費用が発生し、巨大な半導体産業においても、ランニングコストの意味で、その費用の捻出に頭を悩ますユーザが多い。また、露光装置と組み合わされて使われる性格上、ウエハースループットを左右する一要因となっており、安定して稼動することが義務づけられている。“低コストと安定稼動”これが、レーザの全てであると言われて久しい。
性能はコストと安定稼動だけ?
レーザ装置の性能は実際のウエハープロッセッシング上の解像度、DOFなど、各種キー性能に影響を与えないのか?答えは大きく影響する(はず)である。代表的なものではスペクトルは解像度に、波長はフォーカスに、エネルギーはユニフォミティに影響を与える。
では、なぜこれまで深くそのディスカッションがされてきてないのか。これは、露光装置が十分なマージンの上で稼動していたからと言わざるを得ない。すなわち、ターゲットとなる解像力に対して、NA,k1が十分大きく取れていたからである。
しかし、ここに来て、KrFでの90 nmノード、ArFでの65 nmノードの実現にむけて、これ以上レーザの性能を無視することができなくなりつつある。
スペクトルの影響
身近な例でレーザの重要性を紹介する。レーザの性能で最も重要な性能指標の一つにスペクトルが挙げられる。スペクトルの詳細については後ほど説明するが、このスペクトルの変動は直接的にCD(Critical Dimension)に影響を与える
ロジックパターンの中で最も重要なのが、ゲート寸法の制御であることは周知である。ゲートは孤立線で形成されている。ArFプロセスでは、90 nm(k1=0.4)のパターンを形成する時、スペクトル1 pm当りの孤立線のCD変化は、3 nm程度である。また、k1を0.35まで下げると、その影響度は、なんと1 pm当り8 nmも発生することが確認されている。実際のArFレーザのスペクトル変動幅が約0.5 pmであることを考慮すると、レーザのみの影響でCD変化が4 nm発生することになる。KrFプロセスに関してもArFほどではないが、同様の影響を与える。こちらの影響度は、110 nm(k1=0.35)クラスのパターンで1 pm当り4 nmである。
CDの寸法制御を数パーセントに抑制する必要がある近年のリソグラフィーの世界において、レーザの影響を無視することができないことが、理解できる例である。