ArFリソグラフィ - 液浸リソグラフィ、ギガフォトン GT40A

インジェクションロックのメリット (第2回)

インジェクションロック方式のメリットとして安定した性能と、低いランニングコストが挙げられる。

まず、性能面に関しては前章でも触れたように、インジェクションロック方式では、アンプチャンバー両側に配置したミラーにより光が複数回反射されるため、チャンバー内での光の存在時間が長くなり、アンプ側チャンバーの放電開始のタイミングが比較的とり易い。この特徴から、最終的な出力の性能が安定化しやすいことがMOPA方式との違いである。
図2に、スペクトル性能の指標であるE95の安定性データの比較を示す。横軸が発振周波数を示し、縦軸が狭帯域用チャンバーとアンプ用チャンバーの発振タイミングのずれ(ジッター)を示している。それぞれ、同じE95性能が得られる領域を色分けして表示しているが、インジェクションロック方式の方が、発振周波数の変化に対してもジッターの変化に対してもE95が変化しにくいことが一目して分かる。


図2 E95の安定性データの比較

逆にMOPA方式では、その変化が大きく、ジッター等の制御が重要な技術ファクターであることが分かる。MOPA方式では、ジッターを小さく抑えるための工夫として、電力の供給を狭帯域用チャンバーとアンプ用チャンバーの両方に一つの電源からしている。ただし、電力供給量を調整して、エネルギー量を安定化するエキシマレーザにおいては、いくつかの課題を残す。たとえば、新しいチャンバーと劣化したチャンバーを同時に駆動することが難しいことなどが挙げられる。

コスト面に関しては、インジェクションロック方式でのアンプ側チャンバーの発振効率が高いことが低いランニングコストを実現することに貢献している。レーザのランニングコストの殆どの部分は、チャンバーと狭帯域化モジュールなどの光学部品で発生する。インジェクションロック方式の場合は、アンプ側チャンバーの効率が高いため、狭帯域化チャンバーからの出力を最低限に抑えることが可能である。

すなわち、狭帯域化チャンバーからの出力を最低限に抑えることが可能である。弊社の試算では、長期間レーザを動作させた時のランニングコストは、インジェクションロック方式の採用において、MOPA方式と比較し、約40%近くコストを削減できる可能性がある。

このように比較すると、インジェクションロック方式はMOPAに対して優れているように考えられるが、リソグラフィー用の用途としては、大きな2つの課題が指摘されてきた。ASEとコヒーレンスの課題である。

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