2. BCMの原理・構成

図3にBCMのレーザ内での構成を示します。

図3 BCMの構成
図3 BCMの構成

BCMは高精度のE95計測を行うBCM Metrology(BCM 計測)とスペクトルを可変とするBCM Control(BCM制御)の2つの モジュールで構成されています。

a. BCM 計測 モジュール
BCM 計測 モジュールはレーザ光の一部を 光ファイバ(Optical fiber)、 照明光学系(Illumination optics)を通し、精密に温度制御された高フィネスエタロン(High finess Etalons)へ入射させ、フリンジを形成します。形成されたフリンジは高解像度結像光学系(High resolution imaging optics)を通し、低ノイズVUV検出可能CCDセンサ(Low noise VUV detective CCD sensor)へ入射し、電気信号へと変換されます。フリンジ信号はE95計測用に設置されたコントローラにより、デコンボリューション (Deconvolution)処理*され、精度の高いE95計測を実現しています。

*デコンボリューション処理とは装置関数によるスペクトルのボケを取り除く方法であり、正確なスペクトル計測において必 要不可欠な処理です。ギガフォトンでは大型分光器での計測においてデコンボリューション処理を行っていましたが、BCM 計測 モジュールではレーザ装置内の計測においてもデコンボリューション処理を行うことが可能となりました。

表1にBCM 計測 の仕様を示します。

表1 BCM 計測部 仕様

E95 計測 測定精度 ±40 fm@GT40/60A
±25 fm@GT61A
測定範囲 0.15 - 0.6 pm@GT40/60A
0.15 - 0.5 pm@GT61A
累積パルス 40 pulses

 
b. BCM 制御 モジュール
BCM 計測 モジュールにて計測されたスペクトル情報を元に制御を行います。ギガフォトン独自の制御方法として、可変機構に光学素子を使用した方法を開発しました。図4にスペクトル可変機構の原理を示します。

図4 スペクトル可変機構原理
図4 スペクトル可変機構原理

スペクトルを可変とするため、共振器内に光学素子を配置しています。(1)がスペクトル制御を行っていない場合を示して います。レーザの共振器内に平行平板の光学系を配置した場合、光学素子へ入射したレーザ光は平面波のまま透過します。平面光は共振器内のグレーティングへ 入射し、波長λ1を回折します。回折された光は共振され、細いスペクトルを出力します。これに対し、(2)は光学素子を分離させ、レーザ光を透過させてい ます。レーザ光は平面波から球面波へと変化し、グレーティングへ入射します。この場合、異なる波長λ1、λ2、λ3が回折され、出力されるスペクトルは太 くなります。2つの光学素子の間隔を調整することで、スペクトルを可変にすることが出来ます。

光学素子を用いたスペクトル制御の利点として、下記の3点が挙げられます:

-スペクトルの高速制御
光学素子と高速稼動のアクチュエータの組み合わせにより、スペクトルを高速に制御することが可能となりました。

-スペクトルの対称性
露光機のレンズ設計において、スペクトル形状E95/FWHMはある一定の割合と仮定されて設計されています。スペクトルを可変させた場合にスペクトル形 状が対称性を保たなければ、露光機のレンズ設計における仮定とずれが生じてしまいます。BCMではスペクトルを変化させた場合でもスペクトル形状の対称性 を保つことができます。図5に可変機構を動作させた場合のFWHMとE95の関係と実際のスペクトル形状を示します。E95/FWHMがほぼ一定になって おり、スペクトル形状にも大きな崩れがないことが分かります。

図5 スペクトルの対称性
図5 スペクトルの対称性

-レーザ性能への影響
スペクトルを0.3 pm、0.5 pmと変更した場合の波長・エネルギー安定性の挙動を図6に示します。E95を変更した場合でもそれぞれの性能に影響がないことが分かります。

E95を変化させた際の波長・エネルギー安定性
E95を変化させた際の波長・エネルギー安定性

BCM 制御モジュールで使用している光学素子を使用したスペクトル可変機構は以上のような優れた特徴があり、レーザにおいてスペクトルを可変させる理想的な方法と言えます。