1. 概要

レーザのスペクトル性能と露光性能に関する概念については「E95とリソグラフィプロセス」で既に説明致しました。ギガフォトンはスペクトル性能を 精度良く計測し、スペクトル可変モジュールにて、スペクトルを直接制御するBandwidth Control Module (BCM)を開発し、既存機種よりもさらに狭帯域化が求められたGT61Aより標準でBCMを搭載しています。既存機種への適用はオプションにて対応しています*。

* 機種によりオプション構成は異なります。

さらに、マルチパターニング用液浸露光装置に向けた次世代のArFエキシマレーザ「GT63A」においては広い焦点深度を実現するためのスペクトル制御技術(sMPL)*1)を適用予定です。

sMPL(Spectrum Multi Positioning LNM)技術は、スペクトル制御幅を従来の10倍以上に高め、フォーカスドリリングによって、広い焦点深度を実現します。このsMPL技術を搭載すること により、従来技術では困難であったコンタクト、トレンチ、ビア等の露光におけるプロセスウィンドウの拡大を、CDU、オーバーレイ、生産性等に悪影響を与 えることなしに実現することができます。このsMPL技術は、露光機メーカー及び半導体メーカー様と共同で量産試験を実施し、その有効性は確認済みです。

*1) GT61A以前の機種では、sMPLはオプションで提供されることになります。

本章ではArF露光を条件に行ったシミュレーション結果の紹介及び、BCMの構成・原理、実機に搭載した場合のスペクトル性能について説明します。

シミュレーション

シミュレータprolith v9.3を使用し、下記の条件にてレーザのスペクトル性能がコンタクトホール露光においてCDに与える影響についてシミュレーションを行いました。

図1 シミュレーション条件

図1 シミュレーション条件

=Simulation conditions=
1D Binary − Contact hole
A = 40 … 90 nm
B = 10 * A
Illumination: quadrupole
sigma 0.8/0.15
NA: 1.3 immersion
Wavelength: 193nm
E95: 0.35pm & 0.50pm
Resist thickness: 165nm

シミュレーション結果を図2に示します。
 

図2 E95がCDに与える影響
図2 E95がCDに与える影響

結果として、レーザスペクトルE95幅が0.1 pm変化した際のCDへの影響(nm/0.1 pm)はコンタクトホールのサイズが小さくなるにつれ、マイナス方向に大きくなります。例えば、90 nmのコンタクトホールをE95=0.5 pmで露光した場合、CD感度は約-2 nm/0.1 pmですが、40 nmのコンタクトホールでは約-6 nm/0.1 pmと影響度はほぼ3倍となります。また、レーザのスペクトルが太い場合、その影響度合いも大きくなる傾向があります。同じコンタクトホール40 nmを露光する場合でもE95が0.35 pmと0.5 pmではCDの影響度にほぼ倍近い差が見られます。
この結果からも分かるように、より微細化の進んだ露光の場合、レーザスペクトルの変動及び絶対値を最小にする重要性が高まっています。ギガフォトンはスペ クトル変動を最小限に抑えたレーザ光を提供するため、Bandwidth Control Module(BCM)を開発し、実機に導入することに成功しました。