5. E95性能変化によるバイアスの発生

レーザのE95性能が露光機のCD性能へ影響を及ぼすことは前章で述べました。本章では粗密が混在したパターンにおいてE95が変化した場合に発生するバイアスについて検討します。

Bossung Curve

Bossung Curveとは露光機においてFocus、DoseのCDへの影響を表した曲線です。Bossung Curveはプロセスパターン、照明条件などにより形状が変わってくることが知られています。典型的なBossung Curveを図8に示します。

典型的なBossung Curve

図8:典型的なBossung Curve

一般的にIsolated(粗)パターンではDense(密)パターンよりもCDに対するFocusの影響が大きくなる傾向があります。

スペクトル波形の分解

レーザのスペクトル波形は単一の波形で与えられますが、その波形はさまざまな形状の波形が積算されて形成されています。図9にその概要図を示すが、 主に、(1)波長の変動、(2)スペクトル形状の変動、(3)光量(Dose)の変動によりスペクトル波形、すなわちE95が変化します。E95とバイア ス関係は、スペクトルの形状変化とBossung Curveを組み合わせとして考えると分かりやすいです。

スペクトル波形の分解

図9:スペクトル波形の分解

E95とバイアスの関係

図10にスペクトル形状変化によるバイアス発生の概略図を示します。

図内 (1)は波長の変化によるスペクトル形状変化を示しています。(2)は露光装置のレンズで決まる、レーザ波長λと焦点位置の関係を示しています。ま た、(3)レーザ波長の変化を焦点位置変化に換算したものです。またこのとき、スペクトル波形の波長に対する各強度はエネルギーの強度を表すことになり、 Doseの変化となります。(4)はIsolated(粗)パターンとDense(密)パターンのBossung Curveを重ねたものですが、(3)の焦点位置変化、Dose変化から、(5)のCDへの影響を知ることが出来ます。

スペクトル形状変化によるバイアス発生概要

図10:スペクトル形状変化によるバイアス発生概要

図11に、(5)の部分を拡大したものを示します。

(A)はIsolated(粗)パターンにおける波長変化前のCDを表しており、破線で囲んだ面積がCDのばらつきを示しています。(B)が波長が変化した後のCDであり、ばらつきが大きくなっています。また、(A)、(B)のズレが波長変化によるバイアス成分です。

Dense(密)パターンを見てみると、Isolate(粗)とは傾向が異なり、波長変化によるCDへの影響が小さいことがわかります。

Isolated(粗)パターンとDense(密)パターンを合わせて考えると、波長変更後は、(C)で表されるバイアスが発生しており、これがいわゆる Iso dense bias(IDB)を表しています。

バイアスの発生

図11:バイアスの発生

以上がE95性能変化によるバイアスの発生のメカニズムです。